遺伝子検査 用語集(50音順)

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APC

がん抑制遺伝子の一種。adenomatous polyposis coli (大腸腺腫性ポリープ)に由来する命名。



c-myc

c-mycは、がんに関連する遺伝子で、この遺伝子の発現は多くのがんで認められている。



cDNA(copy DNA)

cDNAとは逆転写酵素によってmRNAから複製されたDNA鎖のこと。cDNAライブラリは、ある細胞で発現したすべてのDNAを集めたもの。



DNA

デオキシリボ核酸。高分子生体物質で、地球上のほぼ全ての生物において、遺伝情報を担う物質となっている。DNA はデオキシリボース(五炭糖)とリン酸、塩基 から構成される核酸である。塩基はアデニン、グアニン、シトシン、チミンの四種類あり、それぞれ A, G, C, Tと略す。



EGFR

Epidermal Growth Factor Receptor(上皮成長因子受容体)の略で上皮成長因子 (EGF) の受容体のこと。細胞膜上にあるこの受容体に上皮成長因子 (EGF) が結合すると、受容体は活性化し、細胞を分化、増殖させる。正常組織において細胞の分化、発達、増殖、維持の調節に重要な役割を演じているが、このEGFRに遺伝子増幅や遺伝子変異、構造変化が起きると、発癌、および癌の増殖、浸潤、転移などに関与するようになる。



Free DNA

がんが存在すると、そのヒトの血液にはがんから遊離したDNAが存在するようになる。このDNAは細胞がアポトーシスにより細胞死を起こした結果出現すると考えられており、健常者に比べがん患者のほうが有意に高いと報告されている。



mRNA

メッセンジャーRNA。タンパク質に翻訳され得る塩基配列情報と構造を持ったRNAのこと。



P53

p53遺伝子とは、癌抑制遺伝子の一つのこと。p53のpはタンパク質(protein)、53は分子量53,000を意味しタンパクは393個のアミノ酸から構成されている。細胞が癌化するためには複数の癌遺伝子と癌抑制遺伝子の変化が必要らしいことが分かっているが、p53遺伝子は悪性腫瘍(癌)において最も高頻度に異常が認められている。



PCR法

PCR法とは目的とする遺伝子DNAを100万倍にも増幅させることができる方法で、DNA増幅法、遺伝子増幅法ともいわれる。



RNA

リボ核酸。一本鎖のポリマーであるが、例外も存在する。RNAのヌクレオチドはリボース、リン酸、塩基から構成される。基本的に核酸塩基はアデニン (A)、グアニン (G)、シトシン (C)、ウラシル (U)のいずれかである。DNAを鋳型にして転写(合成)され、各塩基はDNAのそれと対応しているが、ウラシルはチミンに対応する。



SNPs

一塩基多型のこと。ある生物種集団のゲノム塩基配列中に一塩基が変異した多様性が見られ、その変異が集団内で1%以上の頻度で見られる時、これを一塩基多型(SNP;Single Nucleotide Polymorphism)と呼ぶ。従って、対立遺伝子頻度がこれより低いときには突然変異と呼ばれる。複数形でSNPs(スニップスと発音)と呼ばれることもある。



アノテーション

アノテーションとは配列のもつ機能の特定や意味づけをすること。



アポトーシス 

アポトーシス (apoptosis) とは、多細胞生物の体を構成する細胞の死に方の一種で、個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺すなわちプログラムされた細胞死のこと。



アリル頻度

アリル頻度とはある集団において特定のSNPが出現する頻度のことをいう。アリル頻度は人種により大きく異なる。



遺伝子治療

遺伝子治療とは、患者の遺伝物質を部分的に入れ替えることで病気を治療しようとする実験的な技術のこと。ほとんどの場合、欠陥遺伝子の正常版を患者の細胞内に導入する方法がとられる。



遺伝子検査

遺伝子検査とは、病気に関連する遺伝子のバリエーションを探すために、ラボ検査を利用することをいう。遺伝子検査の結果は、疑われる遺伝疾患の確定または除外の診断や、子孫に変異を引き継がせる可能性の有無の診断にも使われる。



遺伝子工学

遺伝子工学とは、組み換えDNA技術を使って生物の遺伝子構造を部分的に改変するプロセスのこと。ヒトは昔から、望ましい形質をもつ子孫の育種や人為淘汰という形で、間接的に、生物種のゲノムを操作してきた。遺伝子工学は、1つ以上の遺伝子を直接操作することである。ほとんどの場合、ある生物種に望ましい表現型を付加するために、別の生物種の遺伝子を導入することをいう。



遺伝子浮動

遺伝子浮動とは、進化のメカニズムのこと。遺伝物質が世代から世代へと引き継がれるうちに、偶然の要因によって遺伝形質や対立遺伝子の頻度が変わることをいう。遺伝的浮動により、集団内の特定の形質が普遍化したり、消失したりすることがある。遺伝的浮動は小集団内で生じやすい。



イントロン

イントロンは真核生物の構造遺伝子に認められる核酸の配列で、遺伝コードを持たず、ポリペプチド鎖のコード情報を含む配列に割り込んでいる。RNA転写産物からイントロン配列がスプライシングされてから、成熟してタンパク質合成が行われる。



一倍体

一倍体とは半数体ともいわれ、染色体を1セットだけもっている細胞のまたは生物のこと。無性生殖する生物は一倍体、有性生殖する生物は二倍体。二倍体の生物では、卵細胞と精子細胞のみ一倍体となる。



遺伝子マーカー

遺伝子マーカーは遺伝マーカーともいわれ、染色体上の物理的な位置がすでにわかっているDNA配列のこと。



エクソン

エクソンとは遺伝子内にあるDNA領域で、ポリペプチド鎖やドメインをコードするもの。一般に成熟したタンパク質は、単一の遺伝子内にある異なったエクソンがコードする幾つかのドメインで構成されている。



塩基

塩基とは一般にはアルカリ性物質のこと。DNAでは特にアデニン、グアニン、シトシン、チミンの四種が重要である。



オープン リーディング フレーム(ORF)

オープン リーディング フレームとはタンパク質をコードしている可能性のあるDNAの範囲のこと。オープン リーディング フレームは開始コドンから始まり、停止コドンで終わる。ORFの同定は、あるDNAセグメントが機能遺伝子の一部である可能性を最初に示す。



オリゴヌクレオチド

オリゴヌクレオチドとはホスホジエステル結合により、いくつかのヌクレオチドが共有結合してできた短い分子のこと。



核型

核型とは、ある個体数のゲノムに含まれる染色体の形や数、大きさを示すもの。ある個体の染色体を写真撮影するときのラボ技術を指すこともある。核型は、染色体の数や構造の異常を調べるのに使われる。



がん遺伝子

がん遺伝子とは、ある正常な遺伝子が修飾を受けて発現・構造・機能に異常をきたし、その結果、正常細胞のがん化を引き起こすようなもののことをいう。このとき、修飾を受ける前の遺伝子をがん原遺伝子と呼ぶ。



がん抑制遺伝子

がん抑制遺伝子は、がんの発生を抑制する機能を持つタンパク質(がん抑制タンパク質)をコードする遺伝子である。特に有名ながん抑制遺伝子として、p53、Rb、BRCA1などが挙げられる。がん抑制タンパク質が作られなくなったり、損傷遺伝子からの異常ながん抑制タンパク質が正常がん抑制タンパク質の機能を阻害すると、組織特異的にがん化が起きると考えられている。



組み換えDNA

組み換えDNAとは酵素を使って所定のDNA配列をカット&ペーストする技術。組みかえられたDNA配列は宿主細胞内で複製されたり発現したりする。



形質

形質とは生物の、形や性質のこと。通常は遺伝子によって伝えられる遺伝形質のことをいう。



欠失

欠失とは遺伝物質が欠けるタイプの変異。欠失変異には、DNA塩基1個の欠損のような小さなものから、染色体の1部の欠落のような大きなものまである。



血漿(けっしょう) 

血漿は血液に含まれる液体成分の一つであり、血液の55%をしめる。やや黄色みを帯びた中性の液体で水 (91%) 、タンパク質 (7%) などで構成される。血液細胞・養分・ホルモン・老廃物の運搬、体内恒常性の維持、血液凝固、免疫機能を持つ。



コード領域

コード領域とは、開始コドンと停止コドンに挟まれたゲノム配列の一部で、特定の遺伝子によってタンパク質をコードしている配列のこと。



構造遺伝子

構造遺伝子とは構造タンパク質をコードする遺伝子のことをいう。



コドン

コドンとは、核酸の塩基配列が、タンパク質を構成するアミノ酸配列へと生体内で翻訳されるときの、各アミノ酸に対応する3つの塩基配列のこと。特に、mRNAの塩基配列を指す。DNAの配列において、ヌクレオチド3個の塩基の組み合わせであるトリプレットが、1個のアミノ酸を指定する対応関係が存在する。この関係は、遺伝暗号、遺伝コード(genetic code)等と呼ばれる。



サイレント突然変異

サイレント突然変異とは、特定のアミノ酸のコドンが同じアミノ酸をコードする別のコドンに置き換わるような突然変異のこと。その結果、表原型には変化はあらわれない。



細胞質

細胞質とは細胞内を満たしているゲル状の液体。水と塩分、各種の有機分子から成る。核やミトコンドリアなどの細胞内小器官は、細胞質から膜を隔てて封入されている。



細胞周期

細胞周期とは、細胞分裂で生じた娘細胞が、再び母細胞となって再び細胞分裂を行い、新しい娘細胞になるまでの過程のことをいう。



制御タンパク質

制御タンパク質とは遺伝子をコードしたDNAの周囲に存在する調整領域と呼ばれるDNA塩基配列に結合することで、遺伝子のオン、オフをつかさどるタンパク質のこと。



赤血球

赤血球は、血液に含まれる細胞成分の一種。細胞内にヘモグロビンを有することで酸素と結合し、血流に乗って酸素を体中の組織に運搬する。なお、二酸化炭素も運搬できるが、酸素と違いほとんどの二酸化炭素は血漿に溶けて運搬される。



ダイレクトシークエンス法

分子生物学の解析技術の中で、DNA分子をクローニングを経ることなく、PCR産物などそのまま塩基配列決定を行うこと。



単核球

単核球は、円形に近い核を有する白血球という意味で、リンパ球と単球の総称である。
。また伝染性単核球症の単核球とは主として異型リンパ球のことをさす。



担がん患者

担がん患者とは、がんを体内に持っている患者のこと。がんが完治している時は担がんとはいわない。



単球 

単球は骨髄で産出され末梢血の白血球のうち3〜6%を占める。白血球細胞の中で最も大きく(13〜22μm)、豆型の核を持つ。単球は、感染に対する免疫の開始に重要で、アメーバ運動を行って移動することができ、細菌などの異物を細胞内に取り込んで、細胞内酵素を使って消化する。



蛋白質

蛋白質とは、あらゆる生き物の細胞内にある高分子化合物。蛋白質は1本以上のアミノ酸の長鎖でできている。そのアミノ酸配列は、遺伝子のDNA配列を翻訳したもの。蛋白質は不可欠な食品栄養素でもある。



調節遺伝子

調節遺伝子とは他の遺伝子産物の合成を調節するタンパク質を産生し、他の遺伝子の発現を制御する機能をもつDNA配列のことをいう。



テロメア

テロメアとは染色体の末端のこと。テロメアは非コードDNAのくり返し配列でできており、染色体が損傷するのを防いでいる。



転写酵素

転写酵素とは、DNAから相補的な配列を持つRNAを作る酵素のこと。これによって伝令RNAが作られる。



点突然変異

点突然変異とはDNA配列の1つのヌクレオチドが別のヌクレオチドと置換する突然変異のこと。



ナンセンスコドン

ナンセンスコドンとはペプチド鎖の終止点を規定するコドンのこと。



ナンセンス突然変異

ナンセンス突然変異とは、特定のアミノ酸のコドンがナンセンスコドンに変わる点突然変異のこと。



偽遺伝子

重複などにより生じた遺伝子が変異によって機能を失ったもの。



バイサルファイト反応

バイサルファイト(亜硫酸水素塩)で、DNAを処理すると、シトシン塩基はウラシルに塩基置換される。ただし、シトシンがメチル化されていた場合は、バイサルファイトによる反応から保護されるため、塩基置換が起きない。バイサルファイト処理後の解析で従来の塩基と比較し、チミンに変換されなかったシトシン塩基がメチル化シトシンと同定される。



ハイブリダイゼーション

ハイブリダイゼーションとは相補核酸鎖の相互作用のこと。ハイブリダイゼーションは2本のDNA鎖の間やDNAとRNAの間に生じ、多くの技術の基礎をなす。



白血球

白血球は、血液に含まれる細胞成分の一つである。顆粒球、リンパ球、単球があり、外部から体内に侵入した異物の排除と腫瘍細胞・役目を終えた細胞の排除などを役割とする造血幹細胞由来の細胞である。



発現

発現とは、遺伝子発現ともいい、遺伝子の情報が細胞における構造および機能に変換される過程をいう。具体的には、普通は遺伝情報に基づいてタンパク質が合成されることを指すが、RNAとして機能する遺伝子(ノンコーディングRNA)に関してはRNAの合成が発現ということになる。また発現される量(発現量)のことを発現ということもある。



バフィコート

バフィコートとは血液に凝固抑制剤を加えて遠心分離した後、赤血球の沈殿の上に形成される白血球を含む膜のことをさす。



バリアント

バリアントは多様性ともいわれる。ゲノム上の同じ位置(座位、遺伝子座)にあるDNA相互のスペル違いのことをさす。



ヒストン

ヒストンとはDNAに結合するタンパク質で、DNAを染色体の形に折りたたむときに、必要となる。



貪食

マクロファージが細菌、ウイルス、死んだ細胞等の異物を取り込むこと。マクロファージの主要な機能。



フレームシフト

構造遺伝子のリーディングフレームを正常な3つ組み塩基の配列からシフトさせるような1つ以上の塩基の欠失、置換、または複製のこと。



プローブ

プローブとは遺伝子、RNA、タンパク質の同定や単離に使用できるように、何らかの方法で標識またはタグをつけた生化学薬品。



ベクター

ベクターとは、分子クローニングや遺伝子組み換えの手順の一環として、所定のDNA配列を宿主細胞に届けるために使われる乗り物。



ヘテロ型

ヘテロ型とは一対の染色体や遺伝子の形が違うもののこと。ヘテロとは「異なる」という意味である。



変異

変異とはDNA配列が変わることをいう。変異は細胞分裂時のDNA複製ミスや、電離放射線または変異誘発物質にさらされること、あるいはウイルス感染などによって生じる。



ホモ型

ホモ型とは一対の染色体や遺伝子の形が同じもののこと。ホモとは「同一の」という意味である。



ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)

ポリメラーゼ連鎖反応とは、「フランキング」配列が既知であるDNAセグメントのDNA複製物を増幅するために使用する技術のこと。フランキング配列に結合したオリゴヌクレチド・プライマーを酵素が使用し、プライマー間の配列を複製する。加熱サイクルがDNA鎖を分離し、冷却によりプライマーが結合し、再度加熱すると介在配列を酵素が複製し、サイクル毎にDNAが2倍になる。一般的に反応は温度調節されたヒーティングブロックの上で行われ、存在する全DNAを30~35サイクル繰り返し、増幅する。



マクロファージ

マクロファージは白血球の1つである。免疫システムの一部をになう細胞で、生体内に侵入した細菌、ウイルス、又は死んだ細胞を捕食し消化する。また抗原提示を行い、B細胞による抗体の作成に貢献する。免疫機能の中心的役割を担っている。



ミスセンス突然変異

ミスセンス突然変異とは点突然変異の1つで、コドンの1つが、異なるアミノ酸をコードする別のコドンに変わること。



メチル化

メチル化は、さまざまな基質にメチル基が置換または結合することを意味する化学用語である。DNAメチル化は、CpG サイト(シトシン-リン酸-グアニンサイト;シトシンがDNA配列のグアニンと隣り合う場所)に起こり、シトシンは5-メチルシトシンに転換される。CpGサイトのメチル化は遺伝子発現に大きな影響を与える。



メチル化特異的PCR

メチル化および非メチル化されている塩基を特異的にPCR増幅してメチル化の様子を解析する方法。目的とする領域でメチル/非メチル化を想定し、プライマーセットを2セット作成する。そしてプライマーの特異性によりPCR増幅の有無を解析する。



メチル基

メチル基とは、有機化学において、CH3- と表される最も分子量の小さいアルキル置換基である。構造式で表記する場合はMeと略される。



密度勾配遠心

高分子化合物などを分離する方法の一つ。それゆえ、特定の密度の粒子・細胞や、タンパク質の分子量に応じて分離する手法。



薬理ゲノム学

薬理ゲノム学とは、薬理学の分野の1つ。DNA配列とアミノ酸配列のデータを用いて薬剤開発と試験を行う学問のこと。個人の遺伝子バリエーションと薬剤応答の個人差に対応した治療法などに薬理ゲノム学の応用が期待される。



リアルタイムPCR

リアルタイムPCR(Real-time PCR)は、定量PCRの中のひとつ。ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) による増幅を経時的(リアルタイム)に測定することで、増幅率に基づいて鋳型となるDNAの定量を行なう。



罹患率(りかんりつ)

病気にかかることを罹患(りかん)という。そしてその病気にかかる割合を罹患率とよぶ。



レトロウイルス

レトロウイルスとはRNAを遺伝物質にしているウイルスの一種。レトロウイルスは細胞に感染すると自身のRNAを転写したDNAを宿主細胞のDNAの一部に組み込む。